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子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれるように、胎児を育てる子宮の内側にある、子宮内膜から発生するがんです。一方、子宮頸部や頸管の上皮から発生したがんが、子宮頸がんです。まれに子宮の筋肉の層から子宮肉腫が発生しますが、これは、子宮体がんとはまったく違う病気です。同じ子宮のがんであっても、子宮体がんと子宮頸がんは、診断・治療・予後いずれに関しても異なることが多いので、子宮体がんと子宮頸がんの違いを正しく理解することが大切です。
子宮体がんにはいくつかの組織型があります。組織型の違いによってあきらかに性質が異なります。進行スピードや抗がん剤治療の効きめも変わってきます。 そのため組織型の違いは治療方針を決定する上で、非常に大事な要素となります。
また、子宮体がんは、※1エストロゲンの刺激が長期間続くことが原因で発生する場合と、※2エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合がありますが、約80%はエストロゲンの長期的な刺激と関連していると考えられています。近年は食生活の欧米化などに伴い、子宮体がんは増加しているといわれています。
子宮体がんの5年生存率は、病期(ステージ)と、組織型、全身状態により異なりますが、1期では約92%、2期では約83%、3期では約62%、4期では約23%となります。
子宮体がんでは、原発腫瘍の大きさ(T:primary Tumor)、リンパ節転移の有無(N:regional lymph Nodes)、他臓器への転移の有無(M:distant Metastasis)で病期(ステージ)が決まります。これをTNM分類といいます。組織型や病気の進み方、全身状態、年齢、妊娠や出産の希望がある場合なども総合的に検討して治療方針を選択します。
子宮体がんの組織分類
類内膜腺がん | 子宮がん80%以上を占める。もとの正常な子宮内膜に似ている。 |
漿液性腺がん | 最も予後が悪いタイプ。進行が早く転移を起こしやすい。抗がん剤が効きにくい。 |
明細胞腺がん | リンパ節転移が多い。抗がん剤が効きにくい。 |
粘液性腺がん | 細胞室内に多量の粘液がある。高分子型が多い。 |
扁平上皮がん | 腺がんの要素を持たない子宮体がんでは非常にまれ。 |
混合がん | 複数の組織型を含む。 |
未分化がん | どのタイプにも当てはまらない。予後不良。 |
子宮体がんの病期分類(ステージ)
0期 | 子宮内膜の異型増殖状態(正常の細胞とは顔つきが異なった異型細胞といわれる細胞が増えている状態)を認めるもの。 |
1期 | がんが子宮体部にのみ認められるもの。 (子宮頸部、その他にがんは認められない) |
1a期 | 子宮内膜にのみ認められるもの。 |
1b期 | 子宮筋層への浸潤が筋層の1/2以内のもの。 |
1c期 | がんの子宮筋層への浸潤が筋層の1/2を越えるもの。 |
2期 | がんが子宮体部を超えて子宮頸部に拡がったもの。 (がんは子宮の外に出ていない) |
2a期 | 頸管内の浸潤が粘膜内にあるもの。 |
2b期 | 頸管内の浸潤は粘膜を越えて深く浸潤しているもの。 |
3期 | がんが子宮外に拡がっているが、骨盤を越えて外には拡がっていないもの、または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。 |
3a期 | がんが子宮の外の膜や骨盤の腹膜あるいは卵巣卵管に転移しているもの、あるいは腹水の中にがん細胞の認められるもの。 |
3b期 | 膣壁に転移を認めるもの。 |
3c期 | 骨盤内、あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの、 もしくは、基靱帯(きじんたい)に浸潤を認めるもの。 |
4期 | がんが骨盤を越えて身体の他の部分へ拡がるか、または、膀胱、あるいは腸の内腔を侵すもの。 |
4a期 | 膀胱あるいは腸の粘膜までがんの浸潤を認めるもの。 |
4b期 | 骨盤を越えた遠隔臓器転移を認めるもの、あるいは腹腔内や鼠径部のリンパ節に転移を認めるもの。 |
子宮体がんの診断検査
子宮内膜細胞診検査
子宮内に器具を挿入してその部の細胞を採取し、顕微鏡で検査してがん細胞の有無を調べます。
子宮内膜組織検査
子宮内膜から組織を一部採取し顕微鏡で検査します。子宮体がんの場合、細胞診だけでは確定診断できない場合があるので、正常な子宮内膜か良性腫瘍か、または子宮体がんかを鑑別するために最も重要な検査です。
子宮内膜全面掻爬・子宮鏡
子宮内膜を一部検査する子宮内膜組織検査では、病巣が確認できない場合に行います。子宮内膜全面掻爬は子宮内膜を全部採取し顕微鏡で検査します。子宮鏡は内視鏡で子宮内をみて病巣を確認し検査します。共に患者さんにかかる負担が大きい検査で、検査に要する時間も長くなるため、麻酔を併用する場合もあります。
画像診断
診察・検査でがんがある可能性が高い場合に、超音波・CT・MRI等の画像診断でがんがどのくらいの大きさがあるか調べます。また子宮筋層にどのくらい広がっているかある程度わかります。1cm以下の小さながんはわからない場合があります。
子宮体がんの標準治療
基本的に外科手術が第一選択となります。子宮体がんの最終的な病期は、摘出した臓器の病理診断をもとに、がんがどの程度広がっているか判明した時点で決まります。術前に推定される病期とは一致しないこともあります。再発の可能性が高い場合は、術後補助療法として放射線治療や抗がん剤治療を行います。組織分化度が低分化、リンパ節転移、深い筋層浸潤が重要な危険因子となります。
■子宮体がんの外科手術
子宮体がんの手術方法は子宮と両側の卵巣・卵管摘出、また場合によって骨盤リンパ節郭清、傍大動脈リンパ節郭清や大網切除術を行います。子宮の摘出方法は、腹式単純子宮全摘出術が選択される場合が多く、準広汎子宮全摘出術もしくは広汎子宮全摘出術を選択する場合もあります。またリンパ節郭清を必要としない場合もあります。がんの進み具合を決定するには、骨盤内や大動脈周囲のリンパ節への転移を評価する必要があります。
しかし、この部分のリンパ節を全部取るのか、生検などのチェックに留めるかは、どちらが有効であるかの明確な証明がまだありません。術後の合併症やリンパ浮腫の原因となる骨盤内リンパ節郭清を全例に行なわず、進行期のある程度進んだ症例に限って行っている医療機関もあります。大動脈周囲のリンパ節郭清には医療機関ごとに細かいところで対応が異なる場合があります。
子宮体がんの術後補助療法
術後には補助療法として放射線治療や抗がん剤治療を行う場合があります。通常、進行期1c期以上または低分化がんに対して行います。放射線治療を行う場合もありますが、日本では放射線治療により、なかなか治らない腸管障害などに悩まされQOLの低下が多いことなどから、抗がん剤治療を行う場合が多いようです。
■子宮体がんの放射線療法
放射線治療は体の外から照射する外部照射が主に行われますが、腟内または子宮腔内に放射線を発する器具を入れて照射する腔内照射も行われます。また、放射線を発する針状の器具を患部に刺して照射する組織内照射もあります。放射線治療は、術後に再発を減らす目的で術後補助療法として行われたり、再発した場合や手術ができない場合に行われたりします。
■子宮体がんのホルモン療法
若い人の子宮体がんではホルモン剤治療が行われることがあります。子宮体がんがエストロゲン依存性であることが多いことから抗エストロゲン作用をもつ黄体ホルモンを大量に投与して子宮体がんの治療を行うことがあります。大量の黄体ホルモンには細胞の増殖を抑制する効果も認められています。現在日本で使用されるのは子宮体がんの初期で妊娠を希望され子宮の摘出を行わない場合です。この場合厳重な経過観察が必要で、治療してもがんが消えない場合は標準的な治療に切り替える必要があります。高度な治療ができる医療機関で十分に相談することが必要です。
■子宮体がんの化学療法
化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。子宮体がんに対する抗がん剤治療は、手術ができない場合や、再発の危険性を減らす目的で手術後に行う術後補助療法、また、がんが再発した場合にも行なわれます。抗がん剤治療は、プラチナ製剤を使った多剤併用療法を6コース行うことが多いようです。
従来から子宮体がんにはアドリアシンが有効であることが知られ、アドリアシン+シスプラチンのAP療法が標準的治療とされていました。これに加えて、近年タキサン系製剤も有効であることがわかってきました。そこで現在、タキソール+カルボプラチンのTC療法が実質的に標準となっています。また、タキソテール+シスプラチンやタキソール+シスプラチンなど様々な臨床試験も行われています。
子宮体がんと抗がん剤治療
子宮体がんで抗がん剤治療が選択されるということは、再発のリスクが高い、または他の治療を行うことが難しいということです。このような困難な状況であっても決して諦めることはありません。抗がん剤の効果を最大限に引き出すことができれば、腫瘍を縮小させ、手術が可能になったり、寛解という希望の光も見えてきます。
そのためには、子宮体がんの抗がん剤治療の副作用を最小限に抑え、薬剤耐性を防ぐことが重要です。これを実現させる可能性の高い唯一の方法が、子宮体がんの抗がん剤治療と低分子化フコイダンを併用した「統合医療」です。
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