卵巣がん

卵巣の中には非常にたくさんの役割の異なった細胞が存在するために、卵巣にできる腫瘍は、非常に多くの種類があります。卵巣がんは、その発生する場所によって表層上皮性、胚細胞性、性索間質性などに大きく分類されますが90%以上が上皮性のがんです。上皮性がんはさらに奨液型、明細胞型、粘液型、類内膜型に分かれ、それぞれ異なった性格をもっています。

また、悪性度が比較的低く、境界悪性腫瘍と呼ばれる卵巣がんも存在します。卵巣は腹腔内に隠れているため症状が出るのが遅く、進行してはじめて診断されることが少なくありません。また卵巣がんと良性の卵巣腫瘍との鑑別は難しく、手術で摘出・検査してから初めてがんと診断される場合も多くあります。

卵巣がんの5年生存率は、病期(ステージ)と、組織型、全身状態により異なりますが、 1期では約92%、2期では約83%、3期では約62%、4期では約23%となります。

卵巣がんでは、原発腫瘍の大きさ(T:primary Tumor)、リンパ節転移の有無(N:regional lymph Nodes)、他臓器への転移の有無(M:distant Metastasis)で病期(ステージ)が決まります。これをTNM分類といいます。組織型や病気の進み方、全身状態、年齢など総合的に検討して治療方針を選択します。

卵巣がんの病期分類(ステージ)

1期がんが片側あるいは両側の卵巣だけにとどまっている状態。
1a期がんが片側の卵巣だけにある。
1b期がんが両側の卵巣にある。
1c期がんが片側または両側の卵巣にある場合で、がんにより被膜が破裂していたり、腹腔から採取した液体または腹膜を洗った洗浄液からがんが見つかった場合。
2期がんが卵巣の周囲(卵管、子宮、直腸、膀胱などの骨盤内)に拡がっている状態。
2a期がんが子宮または卵管の両方、またはどちらかに進展。
2b期がんが骨盤の中にあるその他の臓器にまで広がっている。
2c期がんが子宮、卵管、骨盤内の別の臓器に拡がっており、腹腔から採取した液体または腹膜を洗った洗浄液からがんが見つかった場合。
3期がんが上腹部、または後腹膜リンパ節あるいは鼠径リンパ節に転移している状態。
3a期がんは肉眼的には骨盤内にとどまっているが、がん細胞が骨盤外の腹膜に拡がっている。
3b期がんが骨盤外に拡がっているが、その大きさは2cm未満。
3c期がんが骨盤外に拡がっていて、その大きさは直径2cm以上、または後腹膜あるいは鼠径リンパ節に拡がっている。
4期がんが腹腔外の肺などに転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態。

卵巣がんの標準治療

卵巣がんの標準治療は、手術と抗がん剤治療を組み合わせて行われます。卵巣がんでは、手術だけで完治することは極めてまれです。卵巣がんは発見されたときには進行がんが多いこと、早期がんでも種類によっては再発の危険が高いことがあげられます。そのため、再発の可能性が極めて低いとされる1a期の高分化がん以外の卵巣がんは、ほとんどの場合で抗がん剤治療が必要となります。

■卵巣がんの放射線療法

卵巣がんではほとんど使われることはありませんが、脳や骨などへの転移の症状を緩和するために用いることがあります。大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため注意が必要です。

■卵巣がんの化学療法

化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。

卵巣がんは、比較的抗がん剤治療が有効ながんで、その治療には多くの抗がん剤が使用されています。シスプラチンやカルボプラチンと呼ばれるプラチナ製剤は特に有効であり、現在では卵巣がん治療の中心となっています。またタキソールやタキソテールと呼ばれるタキサン系薬剤も有効であり、現在はプラチナ製剤とタキサン系薬剤とを併用するのが、卵巣がんに対する第一選択として世界標準とされています。

2009年に卵巣がんの治療薬として承認された新規の抗がん剤ドキシルも再発した場合を対象として使用されています。また、2013年に卵巣がんでは初めて承認された分子標的薬のアバスチンも期待されています。

卵巣がんと抗がん剤治療

卵巣がんでは、ほとんどの場合で抗がん剤治療が行われます。抗がん剤治療が比較的有効と言われ、分子標的薬も承認されている卵巣がんですが、副作用や薬剤耐性により治療が中断し、そのまま再開できないケースも多くあります。

卵巣がんの抗がん剤治療を予定通り行うためには、抗がん剤の副作用を最小限に抑え、薬剤耐性を防ぐ必要があります。その唯一の方法が卵巣がんの抗がん剤治療と低分子化フコイダンを使用した「統合医療」です。

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