腟がんは女性のがんの中でも大変珍しい疾患です。腟がんは、主に扁平上皮がんと腺がんの2種類の組織型に分類されます。この他にも、まれに小細胞がん、悪性黒色腫、肉腫などがあります。
膣がんの80~90%は扁平上皮がんで、60歳以上の女性に多くみられます。 進行スピードは比較的遅く、通常は膣近辺にとどまっていますが、肝臓・肺・骨に転移することもあります。また、扁平上皮がんは進行すると、膣の粘膜表面に広がったり、膣の周辺組織や子宮頚部・子宮体部、粘膜の下の筋肉層まで浸潤することもあります。 腟の扁平上皮がんの主な危険因子としては、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が知られています。
膣がんのTNM分類と病期(ステージ)分類
腟がんでは、原発腫瘍の大きさ(T:primary Tumor)、リンパ節転移の有無(N:regional lymph Nodes)、他臓器への転移の有無(M:distant Metastasis)で病期(ステージ)が決まります。これをTNM分類といいます。組織型や病気の進み方、全身状態、年齢など総合的に検討して治療方針を選択します。
膣がんのTNM分類
《T:原発腫瘍(T:primary Tumor)》
原発腫瘍の広がり(深達度など) | |
---|---|
TX | 原発腫瘍の評価が不可能 |
T0 | 原発腫瘍を認めない |
Tis | 上皮内がん(浸潤前がん) |
T1 | 膣に限局する腫瘍 |
T2 | 膣傍組織に浸潤するが、骨盤壁に進展しない腫瘍 |
T3 | 骨盤壁に進展する腫瘍 |
T4 | 膀胱または直腸の粘膜に浸潤する腫瘍、または小骨盤を越えて進展する腫瘍 |
《N:所属リンパ節(regional lymph Nodes)》
がん細胞のリンパ節への転移の有無と広がり | |
---|---|
NX | 所属リンパ節転移の評価が不可能 |
N0 | 所属リンパ節転移なし |
N1 | 所属リンパ節転移あり |
《M:遠隔転移(distant Metastasis)》
原発から離れた臓器への遠隔転移 | |
---|---|
MX | 遠隔転移の評価が不可能 |
M0 | 遠隔転移なし |
M1 | 遠隔転移あり |
膣がんの病期(ステージ)分類
ステージ | 進行度 |
---|---|
ステージ1 | がんが膣壁に限局している。 |
ステージ2 | がんが膣下組織に浸潤しているが、骨盤壁までは進展していない。 |
ステージ3 | がんが骨盤壁に進展している。 |
ステージ4 | がんが小骨盤を越えて進展しているか、膀胱粘膜または直腸粘膜に浸潤している。 |
ステージ4a | 腫瘍が膀胱粘膜および/または直腸粘膜に浸潤している、および/または小骨盤を越えて直接進展している。 膀胱、子宮、卵巣、子宮頸部を含む骨盤領域の外に転移している。 |
ステージ4b | がんが肺や骨などの膣から離れた部位に遠隔転移している。 |
0期:膣上皮内腫瘍(VAIN)
※FIGOの分類では0期(VAIN)は含まれません
これらの異常な細胞はがんではありません。膣上皮内腫瘍は、膣内壁を覆う組織に異常細胞が拡がっている深さに基づいて、次のように分類されます。
VAIN1 | 異常細胞が、膣内壁を覆う組織の表面から3分の1までに認められる。 |
VAIN2 | 異常細胞が、膣内壁を覆う組織の表面から3分の2までに認められる。 |
VAIN3 | 異常細胞が、膣内壁を覆う組織の表面から3分の2を越えて拡がっている。 異常細胞が内壁を覆う組織の全層に認められる場合は、上皮内がんと呼ばれます。 |
膣がんの治療方法
膣がんの治療は外科手術、放射線治療、抗がん剤治療を併用して治療を行います。
外科手術
膣がんで最も多く用いられている治療法は手術です。子宮全摘出術、腟切除術、骨盤除臓術、部分腟壁切除術、レーザー蒸散術があります。
・広汎子宮全摘出術+腟部分切除術
腟の上部1/3にがんがある場合や、子宮にも広がっている場合には、腟上部の部分切除に加え子宮も切除します。広汎子宮全摘出術では、腟の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。
・広汎外陰切除術+腟部分切除術
腟の下部1/3にがんがある場合や、外陰部にも広がっている場合には、腟部分切除に加え外陰部も切除します。広汎外陰切除術では、外陰皮膚の切除に加えて、腟の下部そして皮下の脂肪組織やそこに含まれるリンパ節も同時に切除します。通常、広汎外陰切除術では鼠径リンパ節も切除します。
・部分腟壁切除術
腟の上部1/3にがんがある場合や、子宮にも広がっている場合には、腟上部の部分切除に加え子宮も切除します。広汎子宮全摘出術では、腟の一部を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。
・骨盤除臓術
直腸、下部結腸、子宮、腟、卵巣付近のリンパ節、膀胱を摘出します。腟を越えてがんが広がったり、他の器官に広がっている場合に行われます。骨盤除臓術を行った場合には、人工肛門、人工尿路などのストーマをつくらなければなりません。
・レーザー蒸散術
レーザー光線をメスのように用いて、表面にできた腫瘍や病変部位を出血を起こさずに切除する方法です。この方法により、病変部位を正確に狙い、治療することができます。また、広範囲にがんがある場合にも効果的な治療法です。
放射線療法
放射線治療には放射線を体の外から照射する外部照射と、腟を通して腟や子宮頸部のがんのある内部にする腔内照射があります。放射線治療は、がんの根治を目的とする他、手術後に再発の危険性を減らす目的で行われたり、再発した場合や手術ができない場合にも行われたりします。腟がんの治療では、1期以降の浸潤がんや、腟周辺の手術後に周辺組織への転移がある場合などで、放射線治療が行われます。
化学療法
化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。現在、腟がんについては標準的な化学療法のレジメンはありませんが、子宮頸がんの化学療法のレジメンでの治療が多く行われています。パクリタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、イリノテカンなど単剤もしくは2剤併用で使用されます。 近年では、局所進行膣がんの腫瘍制御率を向上させるために、放射線と併用で同時化学療法が行われています。
《膣がんで使用される抗がん剤》
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