2011第四届世界癌症大会(中国)
酵素消化低分子化フコイダン抽出物による癌細胞特異的細胞死及び糖鎖合成経路の改変誘導
中国・大連のEXPOセンターで開催された第4回世界癌会議において、昨年の日本癌学会でも発表された「酵素消化低分子化フコイダン抽出物による癌細胞特異的細胞死及び糖鎖合成経路の改変誘導」というタイトルで発表をされました。講演後、アメリカの先生より「大変興味深い。自分が携わっているジャーナルに総説を書いてもらえるとありがたい」とのお話があったそうです。
発表内容
フコイダンはコンブやモズクのような海藻由来の粘性硫酸化多糖類である。
アワビグリコシダーゼで消化した低分子量フコイダン抽出物(LMWFE)は抗浸潤及び抗血管新生効果を示した。 LMWFEは現在日本において末期ガン患者の治療に広く使用されている。 最近、我々はLMWFEがガン細胞特異的細胞死誘導し、それが多糖類のマンノース部位を認識するレクチンであるコンカナバリンA(ConA)により増強されることを見出した。LMWFEはヒト線維肉腫HT1080細胞のConA反応性を増強したが、ヒト正常線維芽細胞であるTIG-1細胞の反応性は増強しなかった。
N-acetyl- glucosaminyl-transferase V(GnT-V)はbeta-1,6-GlcNAcの分岐鎖の形成に重要な役割を果たしており、ガン細胞の転移及び浸潤に関係している。 転写因子Ets-1もまた細胞外マトリックス分解酵素の発現を介して転移及び浸潤に深く関係している。 LMWFEはGnT-V及びEst-1の遺伝子発現を抑制したが、ERストレス経路には影響しなかった。このことがLMWFEは糖鎖合成経路の変化を含むガン細胞の悪性の形質を抑制し、ガン細胞特異的な細胞死を誘導することを示唆した。
LMWFEと抗ガン剤シスプラチンを組み合わせて使用した場合、HT1080細胞のアポトーシスは増強され、一方ではシスプラチンによるTIG-1細胞の細胞死は抑制された。
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