卵巣癌の病期と治療決定までの流れ
卵巣癌の病期と治療決定までの流れ

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんは同じ骨盤腔・腹腔内に発生します。卵管がんと腹膜がんに関しては、それぞれに特化したエビデンスが少なく、卵巣がんと性質が似ていることから、近年は卵巣がんに準じて治療が行われます。

治療方針は、がんの進行期や組織型、異型度、本人の希望や体の状態などを総合的に検討して決めていきます。

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんでは、「病理組織学的診断の確定」、「進行期の決定」、「腫瘍の減量」を目的で手術が行われます。

治療方法を決めるために調べること

(1)病期(ステージ)

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんのステージは、手術により切除した腫瘍を調べて決められます。
そのため、病期分類は手術進行期分類と呼ばれています。

卵巣がん・卵管がんの手術進行期分類

ステージ1がんが卵巣あるいは卵管にとどまっている
―ステージ1Aがんが片側の卵巣(被膜破綻※1がない)あるいは卵管に限局している。
腹水または洗浄液※2の細胞診でがんが認められない。
―ステージ1Bがんが両側の卵巣(被膜破綻がない)あるいは卵管に限局している。
腹水または洗浄液の細胞診でがんが認められない。
―ステージ1Cがんが片側または両側の卵巣あるいは卵管に限局するか、下記の1C1期~1C3期に当てはまるもの
・1C1期:手術操作による被膜破綻
・1C2期:自然被膜破綻あるいは被膜表面への浸潤
・1C3期:腹水または腹腔を洗った洗浄液の細胞診でがんが認められるもの
ステージ2がんが片側または両側の卵巣あるいは卵管に存在し、骨盤内の臓器(卵管・子宮・直腸・膀胱など)に広がっているか、原発性腹膜がん
―ステージ2Aがんが子宮、卵管、卵巣に進展、転移しているもの
―ステージ2Bがんがほかの骨盤内の臓器に広がっているもの
ステージ3がんが片側あるいは両側の卵巣あるいは卵管に存在するか、原発性腹膜がんで、細胞診(または組織診)で骨盤外の腹膜に広がっているか、後腹膜リンパ節の転移が確認分からない
―ステージ3A後腹膜リンパ節に転移があるか、骨盤を越えて顕微鏡レベルでしかわからない程度の微小転移がある。
・3A1期:後腹膜リンパ節への転移のみ
・3A2期:目に見えない顕微鏡レベルでがん細胞が骨盤外の腹膜へ広がっている(後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず)
―ステージ3B腹膜播種があるが、その大きさが2cm以下(後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず)
―ステージ3Cがんが骨盤外や肝臓、脾臓の被膜へ広がっているか、腹膜播種があるか、その大きさが2cmを超えているもの
(後腹膜リンパ節転移の有無にかかわらず)
ステージ4腹膜播種を除く遠隔転移
―ステージ4A胸水にがんが認められる
―ステージ4B肝臓、脾臓への転移、骨盤外の臓器(鼠径リンパ節、骨盤外のリンパ節を含む)に転移があるもの
「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版」日本婦人科腫瘍学会編、金原出版などを参考に作成

※1被膜破綻:卵巣の表層をおおう膜が破れること
※2洗浄液:腹水または腹腔を洗った液

(2)病理組織学的診断(組織型・異型度・遺伝子異常)

【組織型】

がんの種類のことを組織型といい、組織型によってがんの性質は異なります。
卵巣がんでは、漿液性がん、明細胞がん、類内膜がん、粘液性がんなどの組織型が存在します。卵管がんの多くは漿液性がんで、他の組織型は極めてまれです。
※組織型については、組織型と確定診断までの検査のページで説明しております。

【異型度(グレード)】

異型度(グレード)はがんの悪性度を示します。漿液性がんは、低異型度と高異型度に分かれます。
低異型度のがんは悪性度はそれほど高くなく、高異型度のがんの方が悪性度は高くなります。

類内膜がんはグレード1~3に分けられ、グレードが上がるにつれて悪性度が高くなります。
なかには、明細胞がんのようにすべて悪性度が高いために異型度(グレード)がつかない組織型もあります。

【遺伝子異常】

卵巣がんの約15%では、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の病的バリアントが関連することが知られています。
BRCA1/2遺伝子変異があると卵巣がんや乳がん、膵臓がん、前立腺がんの発症リスクが高まります。
BRCA1/2遺伝子変異を伴う卵巣がん、乳がんを遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC:hereditary breast and/or ovarian cancer)と呼び、卵巣癌の生涯発症率はBRCA1変異で約40~60%、BRCA2変異で約20%といわれています。

2024年時点では、下の表1の項目に該当する場合はHOBCの可能性が高いとされ、血液検査でBRCA1/2遺伝子変異を調べることが推奨されています。
この検査は、がんを発症していないなどの一定の条件に当てはまらない場合は保険適用外となります。
術後、切除した組織の遺伝子検査でHBOCが疑われることもあります。HBOCと診断され、すでに乳がんを発症している場合は、卵巣や卵管、健側の乳房を、卵巣がんを発症している場合は両側の乳房を予防的に切除するリスク低減卵管卵巣摘出術が保険適用となります。

《表1》遺伝子乳癌卵巣癌(HBOC)の一次検査基準
1、BRCA1/2遺伝子変異のある家族がいる
2、乳がんの患者で以下の条件に1つ以上当てはまる
 (1)45歳以下で発症した
 (2-1)50歳以下で発症し、2つ以上の原発乳がんがある
 (2-2)50歳以下で発症し、近親者に乳がん、卵巣がん、膵臓がん、グリソンスコア7以上の前立腺患者がいる
 (2-3)50歳以下で発症し、家族歴が不明、あるいは限定的にしかわからない
 (3)60歳以下で発症し、トリプルネガティブの乳がん患者である
 (4-1)年齢を問わず、1名以上の50歳以下発症の近親者乳がん患者がいる
 (4-2)年齢を問わず、2名以上(年齢不問)の近親者乳がん患者がいる
 (4-3)年齢を問わず、1名以上の近親者卵巣がん患者がいる
 (4-4)年齢を問わず、2名以上の近親者膵臓がん、またはグリソンスコア7以上の前立腺がん患者がいる
3、卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの患者
4、男性の乳がん患者
5、膵臓がん、またはグリソンスコア7以上の前立腺がん患者のうち、近親者に2名以上の乳がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がんの患者がいる
6、以下の家族暦がある
 (1)第1度近親者(父母、兄弟姉妹、子ども)または第2度近親者(おじ、おば、祖父母、孫、おい、めいなど)が上記の基準に合う
 (2)第3度近親者(曾祖父母、大おじ、大おば、いとこなど)が乳がんまたは卵巣がん患者であり、さらに2名以上の乳がん及び卵巣がんの近親者がいる。
「卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版」日本婦人科腫瘍学会編、金原出版などを参考に作成

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治療方法の選択

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの治療方法は病期(ステージ)や病理組織学的診断とご本人の希望や年齢などの体の状態を総合的に検討し、担当医と患者さんが話し合って決められます。

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの治療の基本的な流れとしては、まずがんが疑われる場合は初めに手術を行って、できるだけがんを取り除きます(腫瘍減量手術)。
この腫瘍減量手術でがんの取り残しが少ないほど、予後が良く、手術後の薬物療法も効きやすくなるといわれています。

●手術後の薬物療法が基本●
初期(ステージ1A、ステージ2B)で低異型度の場合、手術後は経過観察となります。
それ以外の場合、手術の後に薬物療法を行うことが基本となります。
おなかの中にがんが散らばっていて、腫瘍減量手術でがんを取り切ることができないと予測される場合は、手術前に薬物療法を行い、がんを小さくしてから手術を検討することもあります。

卵巣癌、卵管癌、腹膜癌の治療の流れ
日本婦人科腫瘍学会編 卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版 第5版を参考に作成

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