卵巣がんの治療方法
卵巣がんの治療方法

卵管がんや腹膜がん単独でのデータは乏しいため、治療は病理組織学的に類似している卵巣がんのガイドラインに準じて治療が行われます。

卵巣がんでは、手術と薬物療法が中心となります。

卵巣癌、卵管癌、腹膜癌の治療の流れ
日本婦人科腫瘍学会編 卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版 第5版を参考に作成

手術(外科療法)

手術は、原発巣と病理組織学的診断の確定病期(ステージ)の決定、そしてがんをできるだけ取りきることを目的に行われます。

(1)初回腫瘍減量手術・進行期決定手術

この手術では、両側の卵巣と卵管、子宮、大網が切除されます。また、進行期を診断するために腹腔細胞診や腹腔内の各所の生検、骨盤・傍大動脈リンパ節郭清などを行うこともあります。
腹膜や卵巣の周りの臓器にがんが広がっている場合、目に見えるがんの完全摘出を目指すのが原則となります。
手術の完遂度は予後に大きく関係し、残っているがんが小さいほど予後良好という報告が多くされています。

(2)試験開腹術

手術でがんを取りきれないと判断される場合に、がん細胞を採取して組織型を診断する目的と、可能な範囲で手術進行期を確認する目的で試験開腹術が行われることがあります。

(3)中間腫瘍減量手術

初回手術が試験開腹術だった場合や、腫瘍減量手術後に体内に残ったがんの直径が1cm以上の場合、薬物療法を行いながら計画的にがんの量を減らすための手術を行うことがあります。
おなかの中にがんが散らばり、手術での取り残しが予測される時や全身状態などで初回に手術が困難な場合は、まず薬物療法を行ってから中間腫瘍減量手術を行うことがあります。

(4)妊よう性温存手術

将来の妊娠の可能性を残したいという希望がある場合、妊娠するための力を保つことを目的とした妊よう性温存手術を検討することもできます。条件としては(1)がんが片側の卵巣にとどまっているステージ1か2、(2)がんが境界悪性型、あるいは漿液性がん、類内膜がん、粘液性がんといった明細胞がん以外の組織型で異型度が低いがんに限られます。
条件を満たしているか判定するためには、初回腫瘍減量手術で可能な限りがんを完全に切除する必要があります。

妊よう性温存手術を検討する際は、自分のがんの状態や再発などのリスクについて十分に理解し、担当医とよく相談し、治療後も長期にわたる厳重な経過観察が必要となります。

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薬物療法

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんでは、低異型度の初期のがん以外で手術後に薬物療法を行うのが基本となっています。
薬物療法には術前薬物療法、術後薬物療法、維持療法があります。

(1)術前薬物療法

術前薬物療法は、初回腫瘍減量手術や進行期決定手術でがんを取り除けないと予測された場合、まず抗がん剤を用いた薬物療法を行って、がんを小さくしてから手術で完全に取りきることを目指す方法です。
使用する薬剤は(2)術後薬物療法で用いられるものと同じように検討します。
術前薬物療法で効果を得られなければ手術ができないので、しっかりと効果を出すことが重要となります。

(2)術後薬物療法

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんは進行した状態で発見されることが多く、ほとんどの場合で手術後に薬物療法を行います。
組織型で抗がん剤に対する感受性が異なり、漿液性癌や類内膜癌に比べて明細胞癌と粘液性癌は抗がん剤の奏効率が明らかに低いことが知られています。

初回の抗がん剤治療は通常、TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン併用療法)での治療となります。
TC療法とは、パクリタキセルとカルボプラチンという異なる作用を持つ2種類の抗がん剤を組み合わせた治療方法で、この2剤を3週間ごとに点滴で投与します。
近年、パクリタキセルの1回の投与量を減らし、3週間ごとではなく毎週投与するDose-denseTC療法(dd-TC療法)が通常のTC療法よりもPFS(無増悪生存期間)、OS(全生存期間)ともに日本で行われた臨床試験において有意に延長が認められ、標準治療の一つと考えられています。

また、分子標的治療薬も導入されており、卵巣がんでは血管内皮増殖因子に対する抗体薬であるベバシズマブをTC療法と併用することで、TC療法単独よりも再発が抑えられることがわかっております。
極めて稀ですが、ベバシズマブを使用した場合、胃壁や腸壁に穴が開く消化管穿孔が起こる恐れがあります。
そのため、手術創が治りにくくなることを考慮し、ベバシズマブをは術後、2クール目以降から併用することが多くなっています。

●TC療法の施行が困難なとき●
末梢神経障害の合併症が危惧される時や、アルコール不耐例など、TC療法が施行できない場合は、DC療法(ドセタキセル+カルボプラチン)が推奨されています。
DC療法は、長期予後については分かっていないものの、短期的にはTC療法とほぼ同等の効果があるとされています。
DC療法にも分子標的治療薬であるベバシズマブを併用することがあります。

パクリタキセルやドセタキセルといったタキサン製剤の投与が困難な症例に対しては、PLD-C療法(リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチン)が挙げられますが、PLD-C療法もTC療法と同等の効果とはいえず、TC療法が実施困難な場合の代替手段と位置付けられています。

―卵巣がんで使われる主な薬物療法―

薬物療法名使われる抗がん剤備考
TC療法パクリタキセルカルボプラチン
dd-TC療法(Dose-denseTC療法)パクリタキセルカルボプラチンパクリタキセルを毎週投与
TC療法+ベバシズマブパクリタキセルカルボプラチンベバシズマブ
DC療法ドセタキセルカルボプラチンTC療法が困難な場合
DC療法+ベバシズマブドセタキセルカルボプラチンベバシズマブ
PLD-C療法リポソーム化ドキソルビシンカルボプラチンTC療法やタキサン製剤の投与が困難な場合

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(3)維持療法

手術のあと、TC療法+ベバシズマブ併用で寛解した場合、再発を抑える目的で、ベバシズマブ単独投与を12~16クール続ける維持療法が推奨されています。
TC療法+ベバシズマブ併用療法後に維持療法を行わない場合のエビデンスはありません。
また、TC療法のみでベバシズマブを併用しなかった場合、ベバシズマブ維持療法を行うことは保険診療上、認められておらず、エビデンスもありません。

また、ベバシズマブ以外でもPARP阻害薬であるオラパリブ(リムパーザ)やニラパリブ(ゼジューラ)が保険適応となっています。
オラパリブに関しては、HRD(相同組換え修復の欠損)を有する進行卵巣がんに対して、ベバシズマブとの併用療法が保険適応となっています。

―維持療法で使われる主な分子標的治療薬―

薬剤備考
ベバシズマブ初回治療でベバシズマブを併用した場合のみ
オラパリブ(リムパーザ)BRCA1/2遺伝子の病的バリアントがある場合のみ
ニラパリブ(ゼジューラ)ステージ3以上の進行卵巣がん
※BRCA1/2変異、HRD(相同組換え修復欠損)の有無に関わらず

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放射線療法

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんでは、再発した場合の痛みなどの症状緩和のために局所的に放射線治療を行うことがあります。
また、脳転移がある場合は予後を改善するために放射線治療が行われることもあります。

関連項目

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