どのような病気にも基本となるべき治療方法があります。がんに関しても同様に基本となる治療方法があり、それはがんの種類、およびそれぞれのがんの進行状態によって決められています。このような、基本となる治療のことを「標準治療」と言います。
「標準=平均的」と連想し、標準があるならば更に上があるのではないか?と思われる方も多いかと思います。しかし、標準治療とは科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示されています。標準治療こそが一番有効性が高く、安全性が高い治療なのです。
医療において、最先端の治療が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、まずはその効果や副作用などを調べる臨床試験で評価されます。臨床試験によって、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されれば、その治療が新たな標準治療となります。
今回は、がんの罹患率でも常に上位を占める大腸がんの標準治療を例として説明します。
大腸がんでは、それぞれのステージでエビデンス(化学的根拠)に基づいて効果の高さが確かめられ、広く行われている治療法である標準治療が推奨されます。大腸がんと診断されたら「自分がどのステージ」で「どのような治療を受けるのか」をきちんと理解しておくことが大切です。
標準治療は、がんの種類によって異なります。病気と闘うためには自分自身やご家族のためにその病気の標準治療は最低限の知識として身に付けておきましょう。