放射線被曝について

私たちは普段の生活の中で、地殻中あるいは大気中に存在する放射性物質や、地球以外の遥か彼方から地上に飛来する宇宙線など自然放射線による被ばくを常に受けています。これらの被ばくには、宇宙線や地殻中からの放射線による”外部被ばく”と、食物摂取や呼吸によって体内に摂取される放射線核種による”内部被ばく”に分類されます。
自然放射線源による世界の平均年間被ばく線量は、2.4mSvとなっています。

がん治療では、CT検査・核医学検査・X線検査や放射線治療など、放射線を用いた検査や治療が行われています。これらの医療での放射線被ばくは、自然放射線からの被ばくや原発事故などでの被曝などと違い、検査や治療に必要な最低限の線量を計算し、さらに被ばくする部位も最小限になるように厳しく管理されています。

以下の図は、生活の中での自然放射線被ばくと治療などによる人工放射線の被ばく量を表にしたものです。

なぜ、被ばくというリスクをおかしてでも放射線を使用した治療をするのだろうか?という疑問を持たれる方も多くいらっしゃいます。それは、治療による放射線被ばくは、患者さん自身へのメリットが被ばくによる健康被害のリスクよりも上回るからです。例えば、体調の悪い時に重篤な病気が早期に発見できたり、定期的に検査を受けている場合は早期に病状を把握できます。

検査による放射線被ばくは、年間の自然被ばく線量と比較すると少し多くなります。
しかし、この数値は確定的影響が現れる値よりもずっと低く、発がんや遺伝的影響は検査を受けない人と差がないレベルです。

検査 実行線量(ミリシーベルト)
胸部X線検査 0.1~0.2
乳腺撮影 0.3~0.6
腹部CT 5~7
下部消化管造影 3~6
PET 3.5

日本の法律の基となっている国際放射線防護委員会では、医療行為に関連した被ばくのことを”医療被曝”と呼び、それ以外で受ける被ばくのことを”公衆被曝”と区別しています。安全に放射線治療や放射線を使った検査を受けられるよう、国際放射線防護委員会の詳細な検討に基づいて投与値などが決められています。

放射線治療についての不安がある方も多いかと思いますが、現代医学において放射線治療はとても大切な治療方法の1つです。初めから選択しないのではなく、不安や疑問な点があれば、遠慮せずに主治医に相談するようにしましょう。

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