2月27日に大阪大学大学院放射線治療教室主催の公開講座に参加して参りました。
「安心、安全で高度な放射線治療を支える医学物理士」大阪大学 高橋豊先生
「がんに直接刺すから治りやすい!小線源治療」大阪医療センター 吉田謙先生
「がんと放射線治療:最前線からの報告」大阪労災病院 茶谷正史先生
3名の先生から放射線治療について詳しくお話し下さいました。
高橋先生は、医学物理士についてのお話でした。
究極の放射線治療と言われる強度変調放射線治療(IMRT)は、ある一方向からの放射線内で放射線の強弱をつけることができるそうです。いびつな癌の形をコンピュータが読み取り、癌にだけ強い放射線が当たるように各方面から放射線量を不均等に加減することができ、難しい計算は全てコンピュータがやってくれるそうです。IMRTは新しい技術であるため、担当医師、放射線技師、医学物理士で治療計画を作成しその後、医学物理士は放射線量の測定器を機器に設置して試し照射を行ったり、安全性の確認、入力データーの読み合わせなど専門知識が必要となるため医学物理士の養成が急がれています。米国は約6000人に対して日本は50人そこそこのようです。
吉田先生は、小線源治療についてのお話でした。
小線源治療(特に組織内照射)は、放射線の長所を最も良く引き出してくれる治療だそうです。治療用のアプリケーターチューブを腫瘍病巣を取り囲むように留置しコンピュータによる精密な計画を行うことで腫瘍に対して短期間に大量の放射線を集中させることができます。外部放射線治療では治癒が困難な腫瘍でも高い治療成績をあげることができるそうです。前立腺癌でヨード線源を用いた永久挿入法が有名ですが、大阪医療センターではイリジウム線源を用いて線源を一時的に挿入する方法で治療を行っているそうです。患者さん以外は誰も被爆しないという点と、進行癌でも治療ができるそうです。
また、乳がん・子宮頸がん・舌がんも治療できるようです。
茶谷先生は、がんの放射線治療の最前線についてのお話でした。
先端医療の粒子線治療は、体内の深い腫瘍まで粒子を加速し集中させて照射する装置です。可能な限り正常細胞に影響しないようにして腫瘍だけに照射する優れた装置です。しかし、莫大な建設費用と広大な土地が必要で、現時点では1回の照射でも約288万位の治療費が必要です。
ご興味のある方は、各医療センターへお問い合わせください。