肺がんの外科治療
3月7日に兵庫医科大学の市民健康講座に参加して参りました。
肺がんの外科治療について、兵庫医科大学呼吸器外科近藤先生のお話しでした。手術や放射線や抗がん剤の治療が進歩しても、肺がんは治りにくいがんの代表です。早期発見と早期治療が非常に重要です。気になる症状があったらまず、かかりつけの医師に相談して下さい。
基本的な検査や専門的な検査で肺がんの疑いがあれば確定診断が必要となります。
一般的な確定診断手段としては、気管支鏡による肺生検とCTガイド下経皮肺生検があります。しかし、1㎝以下の小さな病変はなかなか確定診断が難しいことも多いようです。CTなどで経過を観察するか、胸腔鏡で確定診断をします。兵庫医科大学病院では、胸腔鏡肺生検を薦めているそうです。
では、肺がんと診断されたらどのように治療するのか?標準的な治療は、化学療法(抗がん剤)放射線、手術の3つです。治療法は、肺がんの進行の程度、患者さんの全身状態、希望により決まります。手術はステージ1期~2期での適用となり開胸手術で肺葉切除術+リンパ節郭清が標準術式です。現代では技術的にはやや難しい胸腔鏡手術が標準的術式となりつつあります。肺を出来るだけ温存し傷を小さくして痛みを少なくすることが手術の基本と考えられ、近未来には手術支援ロボット(※Davinci)による精度の高い手術が標準術式になるようです。
※Davinci(ダ・ヴィンチ)とは内視鏡下手術用の医療ロボットです。
患者さんへの低侵襲な手術を可能にするシステムで2000年7月にアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認され、日本では2009年に厚生労働省薬事・食品衛生審議会で国内の製造販売が承認されました。日本国内では、約60台のDavinciが導入されていて、前立腺がんの手術で保険適用となっています。しかし、前立腺がん以外では先進医療としての認可申請はされているものの、日本においては未だ認可されておらず、健康保険適応の対象とはなっていません。