がんになると多くの人に体重減少が起こります。体重減少が起こると、がん治療に悪影響が出てしまいます。抗がん剤治療の場合、体重が減った人は減らなかった人に比べて治療の継続ができない可能性が高いことがわかっています。
しかし、がんがあると体内で慢性的に炎症が起き、この炎症が続くと自分の体をエネルギーとして利用してしまうので体重が減少します。特に筋肉が落ちていきます。体重や筋肉の減少が起きると体力が落ち、QOLが低下してしまいます。QOLを維持しながら治療を継続するためには、体重を減少させないことと、筋肉を減らさないことが重要です。
栄養の利用を妨げる炎症と治療による副作用
がん治療では、治療効果を上げるためにも体重を維持することが大切です。
体重減少を引き起こし、体力を低下させる原因は主に2つあります。
- がん細胞が放出する物質により、慢性炎症が引き起こされ筋肉のタンパク質が燃やされてしまい筋肉の減少につながります。がんが進行して、がん悪液質の状態になると、急速に筋肉が細くなることが知られています。
- 手術、放射線、抗がん剤などの治療の影響でも体内に炎症が起こります。また、治療の副作用で発熱、倦怠感、食欲不振、口内炎、下痢などは栄養の利用を妨げて体重減少につながります。
治療の効果を上げるために、適切な栄養管理はなるべく早い段階で行うことが重要です。
5大栄養素を中心にバランスの良い栄養管理を心がけましょう。