主治医との信頼関係
安心して治療を受けるためには、医師や看護師との良好な関係は不可欠です。
医師は複数の選択肢の中から患者さん一人一人の症状に合わせて治療方針をたてます。
医師は患者さんに対して必要な情報を提供し、患者さんは納得・同意して治療方針を決めます。
しかし、「医師の説明が難しくて理解できなかった」という方も多くいらっしゃいます。医療の場ではたくさんの聞きなれない専門用語が使われています。自分のことを説明されているのにその内容がよくわからない、そんな状況はとても辛いものです。
「よくわからない・・・」と不安に思い続けているよりも、ほんの少し勇気を出して質問しましょう。医師は、あなたが理解していないことに気づいていないのかも知れません。質問することは、全く恥ずかしいことではありません。医療の専門領域のことを勉強したり、医療現場で働いたことがないのなら、専門用語がわからないのは当然です。
また、医療従事者には、患者さんやそのご家族に対してわかりにくいことをわかりやすく説明する義務があります。
医師が患者さんにわかりやすく説明することはもちろん大切ですが、患者さん側にも少しの知識があれば、医師の話に対する理解度はかなり違ってきます。そのため、がんと診断されたら、自分のがんの種類や、どんな治療法があるのかなど、本やインターネットで事前に正しい情報を集めておくことをお勧めします。
そして、偏った知識や思い込みを持たずに、まず主治医の説明を素直に聞くことが大切です。良好なコミュニケーションを心がけ、医師と信頼して話ができる関係を築くことが治療への重要な一歩となります。
メモをとり、わからないことは質問を
医師から説明を受けるときには、情報を聞き逃さないためにも、できるだけメモをとることをお勧めします。わかりにくい言葉はその場で質問して説明を受けてください。
わからないまま治療を進めてしまっては、自分のがんの状態や治療についての情報を正確に理解することができなくなります。聞きながらメモをとるのが難しい場合は、先生に承諾をとって説明内容を録音させてもらいましょう。面倒だと感じられるかもしれませんが、きちんと理解していくことが大切なのです。
どうしても質問しにくかったり、質問する余裕や時間がなかった場合でも、メモや録音をとっておけば、身近な人に質問したり自分で調べることもできます。
また、診察や相談の際には自分の聞きたいことを事前に整理してメモしておくことで、主治医に要領よく聞きたいことを聞くことができます。診察中や相談の際もメモをとることで治療への理解も深まり、不安が和らぐことにもつながります。
主治医が病状について話しをするタイミング
手術、抗がん剤治療、放射線治療などの効果や結果は、医師も患者さんも一刻も早く知りたいと思っています。ただ、その効果を判定するためには時間がかかります。
たとえば、手術のあとであれば、病理検査といって切除された腫瘍を顕微鏡で見て詳しく調べ、結果が出るまでには通常1週間ほどかかります。また、抗がん剤治療も、2週間や3週間単位の治療を2回、3回と行うメニューのものもありますので、結果が確定するまでには、月単位の期間がかかります。放射線治療も体への影響を考慮して、副作用の少ない線量で毎日少しずつ20回から30回に分けて照射しますので、これも結果が出るまで時間がかかります。
医師が患者さんの病状についてお話をすることは非常に大きな意味を持ちます。推測や想像でお話することはほとんどありませんが、検査や治療効果の結果さえ整えば、患者さんやご家族に今後の治療についてなど、色々なことを説明したいと考えています。全ての結果が出るタイミングがくるまでは、じっくりと治療に専念することも大切です。