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甲状腺がんとは、その名の通り甲状腺にできる悪性腫瘍のことです。
日本で甲状腺がんの90%以上を占める乳頭がんはおとなしいがんで、特に直径が1cm以下のものは消失してしまうものもあるとされています。1cm以下のものは「微小がん」と呼ばれ、その多くは生命に影響を与えないと考えられています。しかし、その乳頭がんも、高齢になるにつれて周囲へ拡がったり、遠隔移転を起こしたり、未分化がんへ変異する率が高くなるとされています。同じサイズ、同じリンパ節転移でも、45歳を境に病期分類を変えているほどです。
がんの生存率の指標として通常5年生存率を用いますが、甲状腺がんは予後が良いため10年生存率が用いられます。甲状腺がんの約90%を占める乳頭がんは約92%、濾胞がんは約98%、髄様がんで約73%、甲状腺原発の悪性リンパ腫で5年生存率は約5%~約85%と大きな幅があります。また、稀に発生する未分化がんは非常に悪性度が高く3年生存率は10%以下となっています。
甲状腺がんでは、原発腫瘍(T:primary Tumor)、所属リンパ節(N:regional lymph Nodes)、遠隔転移(M:distant Metastasis)でステージが決まります。これをTNM分類といいます。発生部位や組織型、病気の進み方、全身状態、年齢、既往歴なども総合的に検討して治療方針を選択します。
甲状腺がんの病期分類(ステージ)
乳頭がんまたは濾胞がんの ステージ分類(45歳未満) | N0 | N1 | M1 |
---|---|---|---|
リンパ節転移なし | リンパ節に転移を認める | 遠隔転移を認める | |
T1,T2,T3,T4 | 1 | 1 | 2 |
乳頭がんまたは濾胞がんのステージ分類(45歳以上) | N0 | N1a | N1b | M1 | |
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リンパ節転移なし | 頸部中央区域リンパ節に転移あり | 一側もしくは両側・対側の頸部以外側区域リンパ節、または上縦隔リンパ節に転移あり | 遠隔転移を認める | ||
T1 | 甲状腺に限局し最大径が2cm以下 | 1 | 3 | 4a | 4c |
T2 | 甲状腺に限局し最大径が2cmをこえ4cm以下の腫瘍 | 2 | 3 | 4a | 4c |
T3 | 甲状腺に限局し最大径が4cmを越える腫瘍、または大きさを問わず甲状腺の被膜外に微小浸潤する腫瘍 | 3 | 3 | 4a | 4c |
T4a | 甲状腺の被膜をこえて進展し皮下軟部組織、喉頭、気管、食道、反回神経のいずれかに浸潤する腫瘍 | 4a | 4a | 4a | 4c |
T4b | 椎前筋膜、縦隔内の血管に浸潤する腫瘍、または頸動脈を全周性に取り囲む腫瘍 | 4b | 4b | 4b | 4c |
未分化がんのステージ分類 | N0 | N1a | N1b | M1 | |
---|---|---|---|---|---|
リンパ節転移なし | 頸部中央区域リンパ節に転移あり | 一側もしくは両側・対側の頸部以外側区域リンパ節、または上縦隔リンパ節に転移あり | 遠隔転移を認める | ||
T4a | 腫瘍の大きさに関係なく甲状腺に限局する腫瘍 | 4a | 4a | 4a | 4c |
T4b | 腫瘍の大きさに関係なく甲状腺の被膜を越えて進展する腫瘍 | 4b | 4b | 4b | 4c |
甲状腺がんの標準治療
甲状腺がんは組織の特徴により乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんに大きく分類されます。また、甲状腺原発の悪性リンパ腫を加えて分類される場合もあります。
甲状腺がんは悪性度、転移の起こりやすさなど組織型により異なる特徴があり、治療法も大きく異なります。乳頭がんの1期に対して、悪性度が低い場合すぐに治療を開始せず、半年後に検査を行い、経過を観察することもあります。それ以外の甲状腺がんについては、まず手術で病巣を切除する外科的治療が基本となります。
■甲状腺乳頭がん(にゅうとうがん)
乳頭がんは、甲状腺がんの中で最も多く約90%が乳頭がんに分類されます。
40歳から50歳の女性の多く、極めてゆっくり進行します。リンパ節への転移が多く見られますが手術中心の治療が行われ治療後の経過が良いがんとされています。しかし、一部の乳頭がんは、悪性度の高い未分化がんに変異することがあります。高齢で発症するほど悪性度が高くなると考えられています。
・がんが片側葉に限局している場合
甲状腺葉切除または(亜)全摘+リンパ節郭清(+周囲臓器の合併切除+放射線内照射)
・がんが両側葉に広がっている場合
甲状腺全摘+リンパ節郭清(+周囲臓器の合併切除+放射線内照射)
■甲状腺濾胞がん(ろほうがん)
濾胞がんは、甲状腺がんの中で約5%が濾胞がんに分類されます。
乳頭がんより少し高齢者に多い傾向があります。また、血液の流れに乗って肺や骨などに遠隔転移しやすい性質があります。治療後の経過は比較的よいとされていますが、遠隔転移がある場合の予後はあまり良くありません。
・がんの広がりがわずかな場合
甲状腺葉切除+リンパ節郭清
・がんが広範囲に広がっている場合
甲状腺全摘、または甲状腺組織を残す亜全摘+リンパ節郭清(+放射線内照射)
■甲状腺髄様がん(ずいようがん)
髄様がんは、甲状腺がんの約1%~2%が髄様がんに分類されます。カルシトニンと呼ばれるホルモンを分泌する細胞が、がん化したものです。乳頭がんや濾胞がんに比べると症状の進行が速くリンパ節や肺、肝臓への転移を起こしやすい性質があります。
髄様がんの約20%~30%は遺伝性に起こるため、家族も含めて検査が行われる場合もあります。
・遺伝性の場合
甲状腺全摘+リンパ節郭清
・遺伝性でない場合
甲状腺葉切除または甲状腺組織を残す亜全摘、もしくは甲状腺全摘+リンパ節郭清
■甲状腺末分化がん
未分化がんは、甲状腺がんの約1%~2%が未分化がんに分類されます。
進行するスピードが速く甲状腺周囲の食道、気管、反回神経への浸潤や肺や骨への転移をおこしやすい最も悪性度の高いがんです。
・抗がん剤治療、放射線外照射治療、手術を組み合わせた集学的治療
甲状腺原発悪性リンパ腫
甲状腺の悪性リンパ腫は慢性甲状腺炎(橋本病)を背景としている場合が多く、中でもその経過が長期にわたる高齢者に多く見られます。
・抗がん剤治療、放射線外照射治療
主な治療法
■甲状腺がんの外科手術
甲状腺の手術は、左右に分かれている甲状腺の片方の葉を切除する葉切除術と甲状腺の2/3以上を切除する甲状腺亜全摘術、個甲状腺組織をわずかに残す甲状腺準全摘術、甲状腺を全て摘出する甲状腺全摘術があります。手術の方法はがんの大きさや転移の有無などにより異なります。
■甲状腺がんの放射線治療
甲状腺がんの放射線治療はがんの内部に放射線を照射する内照射と放射線を体外から照射する外照射があります。甲状腺未分化がんや悪性リンパ腫では外照射を行います。甲状腺乳頭がんや甲状腺濾胞がんでは骨転移している場合に、痛みを抑える目的で外照射を行うこともあります。それ以外は内照射で治療します。
■甲状腺がんのアイソトープ
放射線ヨードの内服療法は甲状腺の組織がヨードを取り込む性質を応用した治療法です。
外科手術で甲状腺を摘出した後で放射線ヨードを内服することで、甲状腺がんの転移や再発などがあった場合に放射線ヨードが取り込まれ放射線を放出することでがん細胞だけを攻撃できます。ただし、この効果が期待できるのは甲状腺乳頭がんと甲状腺濾胞がんに限られます。
■ホルモン療法
ホルモン療法は主に術後の再発予防のための治療法です。
甲状腺は、脳下垂体から分泌されている甲状腺刺激ホルモンにより甲状腺ホルモンを分泌しています。脳下垂体は、甲状腺ホルモンの不足を関知すると甲状腺刺激ホルモンをよりたくさん分泌して刺激します。逆に甲状腺ホルモンが足りていると甲状腺刺激ホルモンの分泌は抑制されます。
甲状腺がんの90%を占める甲状腺乳頭がんや甲状腺濾胞がんは、もともとの甲状腺細胞の性質を受け継いでいるので、甲状腺刺激ホルモンが多く分泌されているとがん細胞の増殖が活性化します。逆に甲状腺刺激ホルモンが少ない状態になるとがん細胞の増殖が抑制されます。手術後に十分な量の甲状腺ホルモンを内服して、過剰な甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑えて甲状腺がん細胞が刺激されないようにする治療法です。
■甲状腺がんの化学療法
化学療法とは抗がん剤による治療のことで、広い範囲のがん細胞を攻撃する治療法です。
甲状腺がんに対する抗がん剤治療は、がんが頸部リンパ節以外の組織にまで転移している場合に、外科手術と併用して用いられます。抗がん剤治療の対象となるのは、乳頭がんの4期、髄様がん、悪性リンパ腫、および未分化がんです。ドキソルビシン、シスプラチン、5-FU、ダカルバジン、ビンクリスチン、ネクサバールが単剤または併用療法で使用されます。
また、2015年5月に根治切除不能な甲状腺がんを効能・効果とする新規抗がん剤「レンバチニブ」が承認されました。レンバチニブは他のキナーゼ阻害薬では標的とならなかったFGFRに対する阻害活性を有し、かつVEGFRも阻害することで、腫瘍血管新生を強力に阻害します。最も多くみられる甲状腺がんと甲状腺濾胞がんをはじめとするほとんどの甲状腺がんに対して治療効果が期待できると考えられています。
甲状腺がんと抗がん剤治療
抗がん剤の副作用
一般的に抗がん剤は、細胞が分裂・増殖する過程に働きかけて、細胞の増殖を抑えます。がん細胞は活発に分裂・増殖している細胞なので、抗がん剤の効果が期待されます。しかし、腸の細胞や髪の毛を造る細胞、血液を造る細胞なども活発に分裂・増殖しているため、影響を受けやすく、脱毛などの様々な副作用があらわれます。
抗がん剤の副作用軽減は薬剤耐性の克服
理論上100%効果があるはずの抗がん剤が効かない最大の理由はがん細胞が増殖するに従って遺伝子の蓄積が起こってくるためだと考えられています。特定の抗がん剤の攻撃を受けたがん細胞は自己防衛本能によって進化します。その進化した遺伝子が抗がん剤に耐性を獲得して、それまで効いていた抗がん剤が効かなくなり、副作用も強くなってしまいます。こうした薬剤耐性の克服は大きな課題となっていますが、現時点で西洋医学には抑制できる薬はまだありません。
薬剤耐性の克服とQOL(生活の質)の向上を目指して
がん治療において現代医学を補完する目的で九州大学大学院の白畑教授と吉田医院の吉田院長が共同研究で取り組んでいる酵素消化低分子化フコイダンが、改善が難しい2期以降のがんにおいても驚く結果が数多く確認されています。酵素消化低分子化フコイダンを用いたフコイダン療法は現代医学の向上に欠かせない統合医療として注目されています。
統合医療におけるフコイダン療法
統合医療とは、二つの療法を統合することによって両者の特性を最大限に活かし、治療をしようという考えのことです。最先端の医学である西洋医学のデメリットや欠点を補い西洋医学がより効果を発揮しやすいように環境整備をするのがフコイダン療法です。
抗がん剤と酵素消化低分子化フコイダンを用いたフコイダン療法は、技術改革が進む先端医療をはじめとした近代西洋医学と酵素消化低分子化フコイダンが融合するハイブリッドな医療です。
■関連項目
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