小児肝臓がん

肝臓がんは成人に多いがんですが、子供も発症します。このがんは主に腹部のリンパ節や肺に転移します。まれに脳や骨に転移することもあります。こどもの肝臓がんでもっとも発症率が高いのは、全体の約半数を占める「肝芽腫(肝芽細胞腫)」です。

このがんは胎児性のがんといわれ、肝臓のもとになる細胞(肝芽細胞)が、がん化するものです。ついで多いのは、大人に多い肝臓がんである「肝細胞がん」で、患者の約20パーセントを占めます。このがんは、診断時に肝臓の何ヶ所かに発見されたり、周囲の組織に広がっていることが少なくありません。その他、肝臓に発生するがんには悪性リンパ腫や軟部肉腫、間葉腫などがあります。

小児肝臓がんの治療方法

治療法は病期によって異なります。初期の場合は外科手術でがんを除去し、その後抗がん剤を使って化学治療を行います。未分化がんのときには、化学療法に加えて放射線治療もほどこします。

肝芽腫

肝臓がんの治療の基本は外科手術です。肝臓は再生する臓器であり、70~80パーセント切除しても、次第にほぼもとの大きさに戻ります。とりわけ子どもは肝臓の再生力が旺盛である上、成人のようにがん以外の部分が肝硬変を起こしていることが少ないため、大きく切除してもあまり問題は生じません。しかも肝芽腫は抗がん剤がよく効くがんなので、最近ではあらかじめ化学療法を行い、がんを小さくしてから手術するようになってきました。

《肝芽腫で使われる抗がん剤》

肝細胞がん

肝細胞がんは、肝芽腫と違って抗がん剤があまり効きません。そのため、がんを手術で切除できるかどうかが治療の上で極めて重要になります。しかし大半の患者は、がんが大きくなりすぎていたり、複数存在していて切除が困難です。手術が可能なときには、がんの切除後に化学療法を行います。難しい場合にはまず化学療法を行い、それによってがんが縮小すれば手術を行います。

《肝細胞がんで使われる抗がん剤》


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