兵庫医科大学病院の市民健康講座に参加して参りました。
今回は、治りにくく死亡率の高い肺がんの話でした。
タバコが確実な要因と言われる肺がん。煙には200種以上の発がん物質が含まれていて、強い発がん物質である芳香族炭化水素ペンツピレンは扁平上皮がん、ニトロサミン化合物は腺がんとの関連性が示唆されています。肺がんは非小細胞と小細胞に分類されます。
組織型による分類では、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんに分類され、がんができた場所による分類は、気管支の入り口にできたものを肺門型、肺門から遠いところにできたものを肺野型と分類します。肺門型(扁平上皮がん、小細胞がん)はレントゲンに写りにくく咳や血痰が出やすくタバコとの関連が多い。
肺野型(腺がん、大細胞がん)はレントゲンに写りやすいが自覚症状が出にくく、タバコの関連が少ないと言われています。診断手順は、診察後CTやⅩ線の検査を行い、肺がんが疑われたときは確定診断の実施となります。気管支鏡、経皮生検、胸腔鏡を使った検査で分類を確定し、次は病期診断で転移が無いか検査、確定診断が終わると治療方針の選定になります。
本人の年齢、体力、合併症の有無も治療を決める上で重要な要因になります。Ⅰ期~Ⅱ期は、外科療法が第一選択肢となります。Ⅲ期は集学的治療となり外科療法、放射線、化学療法の組み合わせで治療します。Ⅳ期は化学療法が第一選択肢となります。
肺がんは進行例が多数を占めるため、化学療法が重要な役割をはたします。非小細胞がんに対する化学療法は、75歳未満で全身状態が良好な初回治療の場合プラチナ製剤を含む2剤併用(シスプラチン+タキソール他)が強く勧められます。最近では分子標的治療薬(イレッサ、タルセバ、アバスチン)も使用されます。小細胞がんは限局型と進展型に分けられます。治療は化学療法が中心になります。限局型の場合のみ放射線療法+化学療法の治療が可能です。初回治療は(シスプラチン+エトポシド、イリノテカン他)が標準的治療として使用されます。
しかし、化学療法で根治出来る確率は低く、がんの予防と早期発見、早期治療が大切です。最近の検診は、低線量ヘリカルCTが増えてきています。胸部X腺写真だけでは発見できないような小型で早期の肺がんを発見できるようになりました。
生活習慣の改善と1年に1回の肺がん検診をお勧めします。