2012年6月1日、大阪国際会議場で開催された公開講座に参加して参りました。
肝臓がんの治療について、内科と外科の立場からのお話がありました。
講演1は、内科の立場から兵庫医科大学の西口修平教授のお話でした。肝細胞がんは、全体の9割以上がB型、C型のウィルス性肝炎から肝硬変になり、肝細胞がんになります。肝細胞がんは早期(腫瘍の大きさで2cm未満)に見つけることができれば根治治療が可能です。
しかし、5人に1人は5cm以上の方が多く、根治治療が難しい事が多いそうです。
早期発見には、定期的に超音波検査を行う事が大事です。肝細胞がんは3ヶ月で平均15mm程度進行するそうなので3ヶ月~4ヶ月に一度の超音波検査が推奨されるそうです。また、血液検査の腫瘍マーカー(AFP,AFPL-3,PIVKA-2)も合わせて検査することでより早期発見につながる事があります。小さながんは、外科的切除手術か、内科的局所治療のどちらかの選択となります。十分な説明(メリット、デメリット)を受けた上で治療法が決められます。
進行した大きながんは、切除手術ができない事が多くありますが、肝臓の状態(肝機能)が良ければ手術できる事もあります。切除手術ができない場合は、抗がん剤治療(インターフェロン、5-FU,ネクサバール、他)肝動脈塞栓療法、肝動脈注入化学療法(肝動注)肝動脈化学塞栓療法などで治療が行われます。
講演2は、外科の立場から兵庫医科大学の飯室勇二教授のお話でした。肝臓の外科的治療は切除と移植ですが実際には切除術が多くなります。肝臓の大きさは、1㎏~1.5㎏もある最大の臓器です。三分の二切除しても6ヶ月位で元の大きさまで再生します。肝臓の切除は門脈の系統的切除が基本となります。切除術の前にCTの画像で立体的にシミュレーションをして切除範囲と切除容量を計算するそうです。最近の切除術では、系統的に切除することと手術器具が良くなり手術中の出血はほとんど無いそうです。