大阪府立成人病センターの公開講座に参加して参りました。
肝細胞がん治療について成人病センターの今中和穂先生、後藤邦仁先生 彩都友紘会病院の杉浦孝司先生のお話でした。
今中先生は、経皮的治療(ラジオ波熱凝固療法、エタノール注入療法)でした。
ラジオ波熱凝固療法、エタノール注入療法とも超音波で肝臓を見ながら肝臓がんに針をさします。ラジオ波は肝臓にさした針に高周波の電気を流して高熱で肝臓がんを死滅させる治療です。エタノール注入療法は長い注入針から肝臓がんへエタノールを注入してがん細胞を脱水させて死滅させる治療です。
がん細胞がおおむね3cm以下3個以内が適応範囲です。手術に比べ体への負担は少ないが、局所再発する可能性がある事と、大きいサイズには適応しないそうです。
後藤先生は、外科的治療(肝切除術)でした。
外科的治療の適応は、肝臓の機能が良好なこと、肝臓がんがおおむね3つ以内であることです。メリットは3cm以上あっても適応できること、根治性が高いことです。肝臓は再生力が旺盛で、良好な肝臓であれば約7割切除しても約1ヶ月で元の大きさに戻るそうです。しかし肝機能が悪い場合、大きく切除すると肝不全に陥る危険があります。そこで、肝機能評価して切除範囲を決定するそうです。
杉浦先生は、カテーテル(IVR)治療でした。
肝動脈化学塞栓療法、肝動注化学療法、肝動注持続化学療法の3療法があるそうです。肝臓には動脈と門脈という2本の栄養を運搬するルートがあります。正常な肝臓は門脈が主なルートですが一般的な肝細胞がんは動脈から運ばれています。そのため動脈から抗がん剤を流し動脈をせき止めると正常な肝臓よりも肝細胞がんのほうが大きなダメージを受けるそうです。
肝動脈化学塞栓療法は、足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を肝臓の 動脈まで入れてがんにつながる血管に抗がん剤を注入して血管にスポンジのふたをし、一時的に血管をふさいで抗がん剤を閉じ込めてがん細胞を兵糧攻めにする治療方です。動脈を塞ぐために用いたスポンジは血管の中で数日間たつと溶けてしまい再び血液が流れるようになるそうです。
肝動注化学療法は、カテーテルを用いて抗がん剤のみを注入する方法です。肝動脈化学塞栓療法に耐えられない肝機能の場合に行われるそうです。アイエーコール(シスプラチンを肝動注用に改良した抗がん剤)を使うそうです。
肝動注持続化学療法は、リザーバーカテーテルという器具を体内に埋め込みインフューザポンプを用いて肝動脈に持続的に抗がん剤を注入する方法で薬の交換や注入は外来で対応できるそうです。