大阪府立成人病公開講座に参加して参りました。
プログラムは、最近歌手の桑田圭祐さんや、世界的なクラシック音楽の指揮者、小澤征爾さんも治療を受けた「食道がん」診療の最前線でした。
食道がんは、早期発見が難しいと言われます。通常内視鏡では、食道表面のわずかな赤さや凹凸の変化を発見することは容易でありません。近年、狭帯域光観察(NBI)機能を搭載した内視鏡ビデオスコープシステムの普及により、これまでより早期発見が可能になってきています。
初期の食道がんはほとんど自覚症状がありません。危険因子はタバコとお酒で50歳以上の男性に多いとされるがんです。食道がんの多くは、扁平上皮がんですが近年増加傾向にある逆流性食道炎からのがんは腺がんです。早期の食道がんは内視鏡治療の対象となりますが「リンパ節転移の可能性がきわめて低い病変」とされています。がんの食道壁の深達度で粘膜上皮~粘膜固有層に留まっていると判断される場合は内視鏡切除が第一選択肢となります。内視鏡治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。
メリットは、体の負担が少ないことです。デメリットは、治療後に狭窄が高率で発症することです。しかし近年、治療後の早い時期から内視鏡的バルーン拡張術を行って狭窄を予防する「予防的拡張術」が行われるようになっています。その他の治療方は、手術、化学療法(抗がん剤)放射線療法の単独または組み合わせで、病期(ステージ)と全身状態を考慮して合った治療方針を立てて治療されます。
50歳以上で飲酒、喫煙歴のある人は、症状がなくても狭帯域光観察(NBI)機能を搭載した内視鏡検査をお勧めします。