癌治療中や治療後に、リンパ浮腫に悩まされている患者さんは多いのではないでしょうか?
リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが滞り、細胞の隙間にタンパク質や水分がうっ滞した状態の事をいいます。リンパ浮腫には、原発性(一次性)と続発性(二次性)の種類に分けられます。
原発性はリンパ節やリンパ管の発育不全、圧迫、閉塞などが原因となります。それに対し、続発性は、乳がん・前立腺がん・子宮がんなどの外科的療法や放射線療法の後遺症、静脈疾患、長期での寝たきり状態が原因となります。
癌治療中のリンパ浮腫は、手術によりリンパ節が切除または破壊されてしまうために起こる続発性のものとなります。
リンパ浮腫と上手に付き合っていくためにも、正しい知識を付ける事が大切です。
リンパ浮腫の出現時期と症状
リンパ浮腫の症状は、細胞の隙間にリンパ液が滞るため、腕や足、胴体のむくみ、重圧感、だるさ、疲れやすさといったものが出てきます。
さらに、免疫力が低下しやすいため、過度の身体疲労や、皮膚の創傷などにより蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる皮下組織の急性炎症を起こしやすくなります。
リンパ浮腫によるむくみは、手術後すぐに生じる場合もあれば、5年~10年経過してから出てくる場合もあります。ゆっくりと進行するリンパ浮腫は、治療を受けずに放置してしまう患者さんも少なくありません。
しかし、放置したり、頻繁に炎症を繰り返す事で象皮症(皮膚が肥厚・変形し、像の皮に似る)にまで進む場合もあります。リンパ浮腫を少しでも感じたら、早い段階で主治医や専門医に相談し、適切な治療を始めなければなりません。
リンパ浮腫に対する治療方法
リンパ浮腫が出てきた場合は、拳上・運動・リンパドレナージ・弾性着衣・薬物療法・外科治療など、様々な治療方法があります。これらの治療方法の中でもリンパドレナージや弾性着衣などは、自己判断で行ってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、合わない弾性着衣の着用など間違った方法で行ってしまうと、症状の悪化や炎症の原因にも繋がります。必ず、医師や専門医へ相談し、適切な治療方法で行うようにしましょう。
日常生活での注意点
- 圧迫のない衣類を着用する…リンパの流れを邪魔しないようにしましょう
- スキンケアを行う…リンパ浮腫の発症や悪化のきっかけとなる炎症を予防しましょう
- 食事・体重管理を行う…バランスの良い食生活、そして適正体重を維持しましょう
- カラダに負担をかけない…過度の温熱刺激(サウナや岩盤浴)などは避けましょう
リンパ浮腫が出ていない場合でも、これらの事に気を付け、日々、浮腫みが出ていないかを意識しておく事が大切です。また、皮膚は清潔に保ち、乾燥や傷を作らないように気を付けなければなりません。
リンパ浮腫は手術後だけでなく、数年後に現れる場合もあります。皮膚の炎症が発症のきっかけとなる事も多いので、皮膚に刺激が強い事は避けるようにしましょう。