抗がん剤の影響で起こる下痢は、「早発性の下痢」と「遅発性の下痢」の2種類があります。早発性の下痢は投与当日~24時間以内に起こるもので、腸の運動を抑制する交感神経と腸の運動を活発にする副交感神経に異常をきたすと下痢になります。特にイリノテカンを使うときに頻発します。
遅発性の下痢は多くの抗がん剤でみられる症状で、投与数日後に発症します。抗がん剤ががん細胞を攻撃するのと同時に消化管粘膜も攻撃され、粘膜障害が起こります。そのため、栄養や水分を吸収できない状態になり、水分を多く含んだ下痢便となります。
対策 | 軽い症状の場合は、整腸剤や止痢剤を内服して調整します。 |
下痢症状が出たら気を付けること
- 腹部の圧迫を避けましょう。
- だるい感じや脱力感がある場合は十分な休息をとりましょう。
- 腸管に刺激作用のある食べ物は避けてください。
(例:香辛料、脂肪の多い食品、食物繊維の多い食品、乳製品、アルコール、炭酸飲料など) - 下痢が続くと脱水症状になるため、スポーツ飲料などを摂取しましょう。
- 下痢が続き、白血球低下と重なると肛門周辺のびらんや亀裂から細菌感染を起こしやすくなるので清潔を保つことが大切です。
下痢が続くときの対処方法
- 食事は消化のよいものを少量ずつ摂り、回数を増やしましょう。
- 室温程度の水分を十分に摂るようにしましょう。
- 下痢の時は低カリウム血症のリスクが高まるので、カリウムの多い食品を摂ることも意識して摂取することが大切です。(例:リンゴ、柑橘類、ジャガイモ、バナナなど)
- カフェイン、アルコール、炭酸飲料、ナッツ類、生の果物、野菜、揚げ物を含む高脂肪食品などは刺激を与える可能性があるので摂取は控えてください。
- できるだけストレスをためないようにしましょう。
1日4~6回以上の強い下痢や3~4日間以上続く下痢の場合は、担当医や看護師に相談して下さい。