口の中にできる粘膜の炎症性病変を口内炎といいます。
抗がん剤によってできる口内炎は、抗がん剤が粘膜にも作用して障害を起こすことが原因です。また、抗がん剤による抵抗力の低下により、口腔内の細菌感染などから生じることもあります。
口内炎の症状 | 口の中が荒れる、唾液が出にくくなる、乾燥するため口内に傷がつく、飲み込みが困難になる |
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口内炎の予防方法
口の中を清潔に保つことは、口内炎の予防や重症化を避けることに役立ちます。抗がん剤治療中は、以下のことに気を付けるようにしていきましょう。
- 口の中の細菌状態は3時間程度で元の状態に戻るので、うがいは約2時間ごとに行うのが効果的です。
- 歯磨きは毎食後と寝る前の4回行いましょう。
- ナイロン製で軟毛の歯ブラシを使い、強い力は入れず1本1本丁寧に磨き、舌も軽く磨きましょう。
- 禁煙しましょう。タバコのヤニは口内炎や口腔内感染症が重症化する確率が高くなります。
- 口腔内を乾燥させないように水分を補給し、唾液が出るようにしましょう。
口内炎があるときの食事対策
口内炎がある時は、食材選びや調理方法に気を付けながら、口内炎を悪化させないように気を付ける必要があります。
1、食材えらび
塩辛いもの、辛いもの、酸っぱいもの、硬いもの(乾燥したもの)、酸味の強い果物などの刺激物を避けるようにしましょう。
刺激の強い食べ物 | 佃煮、漬物、カレー粉、ショウガ、梅干し、酢、厚みのある肉、煎餅、揚げ菓子、干物、海苔、柑橘類など… |
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2、献立を決める
口内炎がある時は、水分が多くやわらかい献立にするようにしましょう。
主食 | おじや、お粥、パン粥、フレンチトースト |
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魚料理 | 煮魚、蒸し魚、ホイル焼き |
肉料理 | ハンバーグ、スープ、餃子などミンチを使った料理 |
野菜 | 煮物、汁やスープに野菜を入れる |
3、調理方法の工夫
とにかく刺激の少ない調理方法を心がけましょう。
味付け | 薄味で味付けをしましょう。だしを濃いめにして、食べて濃いと感じる場合はお湯で薄める |
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切り方や形態 | 細かく切る(刻む)、ミキサーにかけて撹拌する |
とろみをつける | あんかけ、ソースをかける、油、バター、マヨネーズ、練り胡麻などを使う |
口内炎によって食欲が出ず、QOLが低下してしまう人も少なくありません。食事が十分にとらない場合は、食べられる時に刺激の少ないものを摂りましょう。
刺激の少ない食べ物 | おかゆ、冷奴、バナナ、牛乳、ゼリー、プリン、アイスクリーム、液体栄養剤、ミキサー食 |
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口内炎は抗がん剤の副作用として比較的頻度が高く、全体の約40%に起きるといわれています。口内炎の症状は、抗がん剤投与後2~4日目頃から、放射線治療では照射開始後2~3週間目頃から出てくることが多いようです。最初は、口の中がざらざらした感じ、焼けた感じ、食べ物や液体がしみる感じ、粘膜が赤くなる発赤などで始まり、痛みのない潰瘍や粘膜の腫れ、膿がついたような斑点などが出現します。
さらに進むと、痛みを伴う潰瘍ができたり、出血したりするようになります。飲み込めなくなると、イライラや不眠になるなど、精神的なストレスも加わりQOLが著しく下がります。QOLの低下を極力防ぎ、有効と考えられる予防法や治療法を積極的にとりいれることが重要です。