手足の指先がピリピリする・手足の先に刺すような感覚がある・足がしびれて立てない・手足の間隔が鈍い・ボタンがかけにくい・字が書きにくいといった症状はありませんか?それは、抗がん剤の副作用の1つ ”末梢神経障害” です。末梢神経障害の症状が出ると感覚や運動機能が落ちてしまい、症状が進むにつれて日常生活にも支障が出てきてしまいます。
脱毛や吐き気などの副作用は多くの抗がん剤で見られますが、末梢神経障害の副作用を起こす抗がん剤は一部に限られています。
上記以外にも、副作用が少ないと言われている分子標的薬である「トラスツズマブエムタンシン(カドサイラ)」や「ボルテゾミブ(ベルケイド)」などでも手足のしびれや痛みといった副作用が報告されています。
抗がん剤が末梢神経障害へ影響を及ぼす原因は、未だすべてが解明されておらず、この副作用に対しての有効な治療法は確立しておりません。しかし、この症状の出現は抗がん剤の総投与量との関係が深いことが分かっており、抗がん剤の減量や一時中断を行うことで和らぐことがあります。
末梢神経障害の副作用が出た場合のセルフケア
- 炊事の際はゴム手袋を着用し、冷水を避けて適度のお湯を使う
- カイロやストーブの長時間の使用は避ける
- 冷たい飲食物は控える
- 転倒の可能性があるので、階段は手すりを使用する
- つまづきそうな物を床に置かないようにする
末梢神経障害は外見では分からないため、医療者は患者さんから伝えてもらえないと気が付かないことがあります。また、患者さん自身も自覚症状があったとしても我慢したり、抗がん剤を減量することに不安を抱き主治医に伝えない場合も多いようです。
この症状は、我慢をしたとしても軽減されることはなく、症状が重くなってから投与量を減量したとしても十分に回復しないこともあります。症状が出た時点で、相談するようにしましょう。また、ご家族の方も患者さんの日々の変化に気が付いたら、迷わず主治医に伝えてください。