CVポートとは、皮下にカテーテルを留置し、必要な時に体外から接続して薬剤などを投与できるようにするための小さな器具です。中心静脈カテーテルの一種で、CVポートの他に、「リザーバー」、「埋め込み型ポート」、「皮下埋め込み型ポート」、「中心静脈ポート」と呼ばれる場合もあります。
前胸部に留置する場合には、鎖骨の下を通る鎖骨下静脈を介して、心臓の近くの中心静脈まで挿入されたカテーテルにポートを接続し、ポートを前胸部皮下に留置します。ポートは消しゴム程度の大きさで、留置された部位には多少の丸い盛り上がりができますが、それ程目立つものではありません。
CVポートの利点
皮膚の上から専用の針をポートに穿刺するだけで、確実に薬剤を静脈内に投与することができます。また、通常の腕からの点滴のように、安静を保たなくても良く、使用しないときにも特別な処置や管理が必要ありません。
CVポートを利用することにより、確実に静脈内に投与しなくてはならない薬剤の治療も外来で受けることができるので、大変便利です。ただし、CVポートを体に埋め込むためには30分~60分程度の手術を必要とします。
CVポートの対応
抗がん剤を投与する機会が多い方や静脈が細く注射の難しい方、薬剤がすぐに漏れてしまう方、あるいは薬剤の投与時間が長い方や末梢静脈からの投与が好ましくない薬剤を使用する方などには、中心静脈カテーテルの挿入と、皮下埋め込み型ポートの留置が行われます。その他にも、抗がん剤以外に高カロリー輸液をされる方なども、この方法を用いることにより、在宅での点滴が可能になります。
CVポートによる副作用と合併症
広く利用されるようになったCVポートですが、まれに「ポート周囲やカテーテルの感染」「針のずれによる皮下への薬液漏れ」、「カテーテルの閉塞」、「カテーテルやポートの破損による薬液漏れ」、「カテーテルの断裂、鎖骨下静脈の閉鎖」、「カテーテル周囲への血栓やフィブリンの付着」などの副作用が現れることもあります。
また、以下のような症状が出た場合や違和感を感じた場合は、適切に対応する必要があるので、速やかに病院に連絡しましょう。
- 薬液注入開始後、悪寒を伴う発熱が突然出現してきた
- 薬剤注入中にポート周囲が腫れや、痛みが生じてきた
- 薬剤注入開始後、時間が経ったにも関わらずポンプの薬液が減らない
- ポートが留置されている側の腕や頸部に、むくみが生じてきた
- 誤ってチューブを切ってしまった場合、引っ張って針が抜けかけてしまった
このようなトラブルの頻度は高いものではありませんが、起こらないとは言い切れないので、注意しておくようにしましょう。