白なた豆(コンカナバリンA)
白なた豆(コンカナバリンA)

実験で偶然に発見したコンカナバリンAの効果

フコイダン処理を施したがん細胞の細胞表面糖鎖がどう変化するかを様々なレクチンを用いて調べていたところ、コンカナバリンAというレクチンだけが、非常に強力にフコイダン処理後のがん細胞の細胞死を誘導することがわかりました。

コンカナバリンAは特定の糖に結合する性質を持つレクチンとよばれるタンパク質であり、唯一、ナタマメだけに含まれる特有の成分です。自然の免疫物質として注目を浴びるようになり、がん細胞の増殖を抑制する作用があると報告されています。

 

低分子化フコイダン+コンカナバリンAはより顕著な効果を発揮

HT1080(ヒト線維肉腫由来細胞株)に低分子化フコイダンだけと低分子化フコイダンにコンカナバリンAを加えたもので、どちらがより細胞死を導くかを比較する実験を行いました。また、その際に低分子化フコイダンの濃度を変えその変化も同時に確認しました。

その結果、低分子化フコイダンだけよりも低分子化フコイダンにコンカナバリンAを加えたものの方が低分子化フコイダンだけのものより、より細胞死を導くことがわかりました。また、コンカナバリンAの効果によって細胞死が起きているのかを実験したところ、コンカナバリンAだけではわずかな細胞死を誘導するに留まったところから、この細胞死誘導効果は低分子化フコイダンとコンカナバリンAとの相乗効果であることが解りました。

また、この研究は2013年2月に「ガン細胞表面の糖鎖構造の変化を誘導するためのキット」として特許として登録されました。

 

ナタマメエキス添加低分子化フコイダンは正常細胞にはダメージを与えずがん細胞にだけ効果を発揮する

コンカナバリンAはナタマメだけに含まれる成分であるため、このナタマメのエキスを抽出し低分子化フコイダンに加えました。そして低分子化フコイダン単独のものと細胞死誘導効果についてHT1080(ヒト線維肉腫由来細胞株)とTIG-1(ヒト正常線維芽細胞)について比較実験を行いました。 この実験では細胞の呼吸活性について計測していますので、数値が少ないほど細胞死が多くなります。

低分子化フコイダン単独ではHT1080がん細胞の細胞死誘導効果は容量依存的に強くなることが解ります。ナタマメエキスを加えたものではその効果がより強く現れ5%添加では顕著に細胞死を誘導することが解ります。

一方、正常細胞TIG-1ではナタマメエキスを加えても細胞死を誘導しないことが解ります。

つまり、ナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンは正常細胞にはダメージを与えず、がん細胞にだけ細胞死を誘導します。このことは、2014年9月に行われた第73回日本癌学会学術総会でも「酵素消化低分子化フコイダン抽出物とナタマメ抽出物との併用による抗腫瘍作用増強効果」として発表されました。

 

ナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンは約2倍の効果を実現

ナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンと低分子化フコイダン単独との効果の差を測定するため、HT1080細胞においてIC50(50%阻害濃度)を算出する実験を行いました。

実験の結果、低分子化フコイダン単独のIC50が6.1%、そしてナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンのIC50が3.0%となったことから、ナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンは単独の低分子化フコイダンの約2倍の効果を有すると考えられます。

 

NIH:OVCAR-3(卵巣がん由来細胞株)でも1.6倍の効果を検証

ナタマメエキス添加低分子化フコイダンはNIH:OVCAR-3(卵巣がん由来細胞株)でも細胞死誘導効果は容量依存的に強くなりますが、ナタマメエキス5%添加ではより強く細胞死を誘導することがわかります。

また、NIH:OVCAR-3(卵巣がん由来細胞株)においてもIC50(50%阻害濃度)を算出する実験を行いナタマメエキス添加低分子化フコイダンと低分子化フコイダン単独での効果比較実験をおこないました。

実験の結果、低分子化フコイダン単独のIC50が6.0%、そしてナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンのIC50では3.7%でした、このことからナタマメエキスを添加した低分子化フコイダンは単独の低分子化フコイダンの約1.6倍の効果を有すると考えられます。

ナタマメエキス添加低分子化フコイダンは副作用なく低分子化フコイダン単独の1.6倍から2倍の抗がん効果を発揮すると考えられます。